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2018年5月 4日 (金)

WFFS続報

 もっかWFFS(Warmblood Foal Fragile Syndrome)いわば「温血種仔馬脆弱症候群」なる病気が大問題になっている欧米の馬術馬産界、その問題をいっそう大きく取り上げさせる一因になった先日の有名種牡馬エヴァーデール号のキャリア発覚ですが、彼の産駒でやはりスタリオンの2頭が、同様にキャリアだということが今日発表されました。

 そもそも、このWFFSとはどんなものかというと、私もまあ読みかじり(しかも英語だからなおさらあやうい)だけれど、これは温血種の馬(軽種×重種の配合でできた馬種、中間種とも。オランダ温血種とかスウェーデン温血種とかたくさんある。馬術競技によく使われる)において、特定の遺伝子変異によって起こる病気。
 この遺伝子(LH1、リシルヒドロキシラーゼ1という、難しい><)を、仔馬は父母からそれぞれひとつずつ受け継ぐ。で、受け継いだLH1が2つとも正常な場合は何ら問題ないし、片方だけ異常な場合も発病はしない(でもキャリアとなる)。しかし、2つとも異常な場合は発病してしまい(だからキャリア同士の配合によって仔馬が発病する確率は25%、キャリアは50%、異常なしは25%)、皮膚の異常な弱さ(手がさわっただけで破れるとか><)や関節の異常な柔らかさ(立ち上がることもできない)などを示す。産まれる前に死亡する(流産かな)のが大部分らしいけど、産まれても上記のような致命的症状なので、現行安楽死させるよりほかはないという、なんとも痛ましい病気…(人間にも同じ遺伝子の異常による病気があるそうな)。

 で、先日この変異遺伝子のキャリアだということが発覚したエヴァーデール号(産駒がすでに5,000頭に上るという…)を繋養していた厩舎が、繋養中のスタリオンすべてに遺伝子検査を行ったところ、彼の産駒のスタリオン2頭、インクルーシヴ号とインスパイア号もキャリアだということがわかったのでした。なお、エヴァーデールの父ロード・レザーデール号はシロの由を別の記事で見たから、エヴァーデールの場合は母親がキャリアだったのか、偶然の突然変異だったのか?

 この厩舎(在アメリカ)にとっては大打撃であろうけれど、フェイスブックのコメントを見る限り、「勇気を出して発表してくれてありがとう、他の厩舎も早く見習って!」という意見がもっぱら。たしかにまったくその通りだけれど、きわめて高額なスタリオンを何頭も抱える生産者や、スタリオンや繁殖馬を売買するディーラーにとってはあまり有り難くない話だろうな…テストすれば、けっこうな数、けっこうに有名なスタリオンが次々見つかりそうな気もする。

 オランダじゃ、エヴァーデールの娘が産んだ仔馬がこの病気で生まれたとFBで報告されてたし、何しろ一般には認知度の低い病気のようだから(報告した人によると、獣医も知らなかったという、たしか米国での報告もそうだった。大きな施設に搬入して初めてわかった)発症した仔馬がいても原因不明として報告されてないだけで、実はけっこうな数の罹患があるかもしれないな。

(追記1:上のエヴァーデール号の場合なんかだと、母親側の遺伝子調査をやっていけばどの馬がキャリアだったか突き止められそうなものだし、そうすればその一族に注意をうながすことができると思うんだけど、やらないのかな?それとも、コッソリやってはいるのかな…)

(追記2:WFFSの歴史について。これはかなり発見されたのが新しい病気で、ある資料によると、2007年にクォーターホースの奇病が遺伝子変異によるものだと発見されたのをきっかけに、同様の症状が他の馬種にもあることが報告され、その中にこの病気も含まれていたとある。また、ユーロドレッサージュの記事中の説明によると、WFFSが遺伝子変異によると確定されたのは2011年だとある。遺伝子検査が確立されたのは2012年前後のよう。現在まで、この病気は欧州では稀で米国に時々見られたというけれど、それは検査・報告のシステムが米のほうが進んでいたからかもしれない。だが、今となっては、欧州のスタリオンの10%以上にキャリアの可能性があるというのだから大ごと。が、今のところ、欧州のスタリオン・ファームで調査が行われたという報告はないみたい…)

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