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2018年6月15日 (金)

WFFS続報10

 WFFSについて等閑視を決め込んでいるドイツのハノーヴァー馬種協会ですが、北米のハノーヴァー馬種協会は今日「2019年度のスタッドブックには、スタリオンのWFFSのテスト結果を併記する」との声明を出しました。と言うと、本家のドイツに比べたいへん立派なようですが、これが必ずしもそうではない。
 と言うのも、声明によると、スタリオンのWFFSの遺伝子検査はあくまで”recommend(推奨)”であり、”mandatory(義務)”とはしていないから。そのくせ、スタリオンのオーナーに対しては、2019年初頭に検査結果の報告が”reqwired(要求される)”と言っているのが何とも不可解…また、結果を「陰性」「陽性」「未検査」の3つで公表すると言っているのも、特に「未検査」を公表するというのが、何だかオーナーひとりに責任を負わせるようで、組織としては少々無責任に思われる。

 (ユーロドレッサージュのこの記事をFBから転載しようと思ったけど、画像がWFFSで死んだ仔馬の無惨な姿なので止めました^^;)

 私がこんな記事をいちいち記録しているのは、WFFSに関心があるのはもちろんだけど、それに対する国や人の反応が興味深いから…すぐに検査・公表を導入する国あり(オランダ、スウェーデン。オランダではオランダ温血種協会を挙げて検査を行い、スタリオンに十数頭のキャリアが確認されている)、書面で注意をうながすにとどまる国あり(デンマーク。ブルーホースは早々と自主的に検査を行い、その結果スタリオン11頭中に3頭のキャリアを発見。その半月あまり後、ヘルグストランドが自主検査の結果を一部公表、人気スタリオン2頭にキャリア発覚)、いっさい何もしない国あり(ドイツ。ハノーヴァーもオルデンブルクもラインランダーも、だからまったく罹患率がわからない)。今年12月の会議で話し合いますという世界的組織あり(WBFSH←FEIの兄弟機関)。所有のスタリオンについていっさい検査しない(もしくは結果公表しない)有名スタリオン・ステーションあり(ドイツのショッケモール、トーティラスを繋養しているので有名)。

 歳月が過ぎれば、今の渦中の動向について、あの時はまだ状況が明らかでなかったからとか、一時的に状況を誤解していたからとか、いろんな言い訳が出て来るでしょう。あるいは事態が結局初め恐れていたほどの大事に至らず、「ほら見ろ、何もしなくて正解だった」との意見が出て来ることだって考えられる(実際には、よその人が一生懸命働いてくれたから「大事でない」と判明したのであり、手を束ねて見ていた傍観者には何の手柄も先見の明もありはしないのだけど)。その時にはそれを聞く人も、昔のこととして、何となく納得してしまうもの。が、現在進行形でいろいろな事実が表に表れて来、心配する声があちこちから聞こえてきて、また実際に対策を打ち出すものも出て来る中、それを現に目の当たりにしながら、それでもいくつかの国・組織は腰を上げようとしなかったという事実は、これはいまハッキリ記録して、将来の戒めのため残しておくべきだと思う。「巧遅より拙速を尊ぶ」ということばは、このような見通し不鮮明な状況にこそ当てはまるべき。経費・労力をかけて最終的に何でもないとわかれば、「もったいなかった」だけで済むし、一見は骨折り損に見えても、そのじつ安心という果実をすみやかに入手するという大きな利を得ることができ、かつ「あそこは迅速に事に対応してくれる」という信頼感をも周囲に醸成できる。が、反対に、経費・労力を惜しんだあげく最終的に最悪の結果が判明した日には、まったく目も当てられない。―そうなってからでは、「もったいなかったから」はおろか、言い訳を百出したところで通るものではない。さらに、それまでに稼いできた周囲の信頼さえ失って、一朝味方変じて敵となり、以後は何をやっても疑いや軽蔑の目で見られることにもなりかねまい。

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