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2019年1月11日 (金)

ショッケモールのスタリオン・ステーションで7頭のWFFSキャリア判明

*WFFSとは、父方の遺伝子のひとつ×母方の遺伝子のひとつが共に異常な場合、胎児を死にいたらしめる遺伝病。片方が異常で片方が正常な場合、胎児はキャリアとなるけれど、正常に産まれて心身に異常はない。しかし、キャリア同士が交配されると、25%の確率で発症する。

 経済的損失を惜しむあまり自馬のWFFS検査結果をひた隠しにしてきたドイツ、それでも発表した牧場もないではなかったのに、トーティラスはじめ馬産界有数のスタリオンを有するポール・ショッケモールのステーションは、とうとう去年中は結果を隠し切って押し通してしまいました(そういえば、12月にあったはずのFEI関係の会議はどうなったんだろう)。が、今年1月1日から有効化されたドイツの法改正により、ドイツ国内でも発表が強制に。その結果、発表されたのがドレッサージュホースでは4頭のWFFSキャリア、すなわちFursten-Look(父Furstenball), Furst Toto(父Furstenball), Top Gear(父Totilas), Bluetooth(父Bon Coeur)。

 このうち二頭の父がFurstenballだし、また一族的にも疑惑たっぷりだったから、てっきりFurstenball自身キャリアだったんだろうと思ったけど、どうやら両者ともに母方からの遺伝のよう(いずれも母方にLondonderry号の血が入ってる。ロンドンデリーはきわめて遺伝力の強いWFFSキャリア)。また、トップギア号の父はあのトーティラス号(ファーストトト号の母父も)だけど、これも母方(キャリアのDon Fredericoが母父)からだと思われます。もう1頭のブルートゥース号は、これはたぶん父のボンソワール号から(Calypuso2号にさかのぼる。カリプソ2は、全兄弟のカリプソ1、父のコルドラブレヤ号ともども、ロンドンデリー一族にも劣らぬ強烈な遺伝力を持つキャリア一族の始祖の1頭)(ただし、ボンソワール自身はノンキャリアだとの情報もアリ)。
 なお、疑惑だったフューステンボール号は、同じくショッケモールの厩舎に属していて同じく検査を受けたはずだから、クロでなかった以上、シロだと思われます。
 それにしても、キャリアの1頭のフューステンルック号は、ヤングスタリオンの世界大会でも好成績をおさめたほどの馬…その検査結果をひた隠しにして、「牝馬さえキャリアでなければ問題ない」と口を拭って供用を続けてきたというのは、たとえその言の通りだとしても、実におもしろからぬ腹のうちだと言わざるを得ません。実害はないにしろ、実際には不愉快があまりある感じ。こんなディーラーに買われたトーティラスが気の毒だ…

 ショージャンプの方面では、Baloue de Rouet(父Balouebet de Rouet)―発表以前にすでに話題になっていたようだけど―, Action Blue(父Chacco-Blue), Chacgrano(父Chacco-Blue)の3頭がキャリア。父が同じ2頭は、おそらく父チャコブルー号からの遺伝(カリプソ2号の息子コンテンダー号からの分かれ。チャコブルー自身も高確率でキャリア)、もう1頭もたぶん父方からで、やはりコンテンダー号から血が入ってます。
 この”カリプソ系”、ショージャンプの馬で頭文字がCの馬はたいがいそうなのだけど、Cがついてなくても血統図を探せば必ずどこかにCが見つかると言っていいほどの普遍的血脈。優秀な血脈であればこそだけど、同時にキャリア血脈でもあり、しかもハノーヴァー種などのドイツ原産改良馬はけっこう近親交配を辞さないから、相当大変なことになっている(たとえば上記のチャコブルー号はホルスタインの血が濃いmecklenburgerという馬種だけど、5代目までの血統表に3回コルドラブレヤ号が出て来る)…Cに石を投げればキャリアに当たる、みたいな感覚さえないでもない…

 近日中にはオルデンブルグ種の組織も検査結果を明かす由で、いよいよいろんなことがわかってくるでしょう。オルデンブルグやホルスタイン種もけっこうに怪しくて、ハノーヴァー種とのつながりも浅くないので、ブリーダーたちは戦々恐々だろうな…ハノーヴァーといえば、今や大人気のDancier号もあやしくなってきた(孫と母父の分かれにキャリア輩出)。ダンシエール号の母方の曽祖父は、ロンドンデリー号の父と同一馬(Lauries Crusador号)。ドイツの掲示板で、WFFSの遺伝子はロンドンデリーの母方からのものだ、とのコメントがあったけれど、さて、どんなものだろう…

追記:ダンシエールはシロの由(ドイツのステーション・ツェレが繋養先だったけど、先日発表されたキャリアの中に入っていない。なお、ダンシエール自身は去年亡くなっている。ついでにダンシエールの産駒ドン・ノブレス号―キャリア発覚したドン・K号の父―もシロ。)

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