訳詞・晏幾道詞

臨江仙

闘草階前初見
穿針楼上曽逢
羅裙香露玉釵風
靚粧眉沁緑
羞臉粉生紅

流水便随春遠
行雲終与誰同
酒醒長恨錦屏空
相尋夢裏路
飛雨落花中

みそめしときは はなくらべ
しのびしよるは はりしごと
たまのかざしも すずやかに 
さみどりの まゆひそめ
ほほそめて はじらいき

みずのまにまに はるとおく
くものゆくえに きみさりぬ
ひとりねのとこ さけさめるとき
ゆめにいり たずねばや
はなくたす あめのなか


臨江仙

夢後楼台高鎖
酒醒簾幕低垂
去年春恨却来時
落花人独立
微雨燕双飛

記得小蘋初見
両重心字羅衣
琵琶絃上説相思
当時明月在
曽照彩雲帰

ゆめのぶたいは とざされて
ねざけのさめし とこのうえ
こぞのうれいの たちかえるとき
あめにぬれ ひとりみる
ならびとぶ つばくらめ

はじめてあいし おもかげは
ぬいのきものに びわをだき
こいのおもいを かたれるすがた
つきはなお かがやけど
てらされし ひといずこ


臨江仙

酔別西楼醒不記
春夢秋雲
聚散真容易
斜月半窓還少睡
画屏間展呉山翠

衣上酒痕詩裏字
点点行行
総是凄涼意
紅燭自憐無好計
夜寒空替人垂涙

ようてわかれて さめればひとり
つどうも ちるも
ゆめうきぐもの はかなさや
とこのうちから いねがてにみる
とばりなかばの かたむけるつき 

さけのしみにも うたかくじにも
にじんで しむは
みをいとせめる さびしさぞ
ただろうそくの なさけをしりて
かわりにながす なみだのよふけ


鷓鴣天

彩袖殷勤捧玉鍾
当年拚却酔顔紅
舞低楊柳楼心月
歌尽桃花扇影風

従別後
憶相逢
幾回魂夢与君同
今宵賸把銀釭照
猶恐相逢是夢中

たまのさかずき つがれれば
かさねてよいし わかきころ
まえばやなぎに つきはおち
うたえばはなに かぜはやむ

わかれては
なつかしく
ゆめにあうこと いくそたび
いまちかぢかと ひをとりて
みつむればなお ゆめのごと


南郷子

花落未須悲
紅蕊明年又満枝
惟有花間人別後
無期
水闊山長雁字遅

今日最相思
記得攀條話別離
共説春来春去事
多時
一点愁心入翠眉

ちるはなを かなしまず
ときくれば またひらくもの
さだめなき ひとのわかれぞ
かなしきは
みちとおく たよりもおそし

こいしくも おもいだす
わかれのひ やなぎをおりつ
ゆくはるの はやさをふたり
かたるとき
ふとよせた みどりのまゆわ


浣渓沙

午酔西橋夕未醒
雨花凄断不堪聴
帰時応減鬢辺青

衣化客塵今古道
柳含春意短長亭
鳳楼争見路旁情

ひるまにかいし はなのよい
ちらすゆうべの なみだあめ
かみのみどりも しらむほど 

たびのわらじは ちりとなり
えきのやなぎは はるのいろ
うきよのなみを たれかしる 


浣渓沙

楼上燈深欲閉門
夢雲帰去不留痕
幾年芳草憶王孫

向日闌干依旧緑
試将前事倚黄昏
記曾来処易消魂

ともしびをいれ かどをさし
さりてあとなき ゆめをおう
しのびおもいの いくとせぞ

くさのみどりは かわらねど
おもいでだいて たそがれに
むかえばこころ かきみだる


長相思

長相思
長相思
若問相思甚了期
除非相見時

長相思
長相思
欲把相思説似誰
浅情人不知

こいしくて
こいしくて
こいしさは いつにやもうか
きみにあうまで

こいしくて
こいしくて
こいしさを だれにいおうか
きみはきづかず