バレエ鑑賞

2018年12月10日 (月)

カプツォーワのシルフィード

 いや、ずーっと見たかったニーナ・カプツォーワの「ラ・シルフィード」の動画を、親切などなたかがユーチューブに上げてくださりましたよ。

 ポワントで妖精といえば、カプツォーワにぴったりだと前から思っていたし、経歴なんかを見るとやっぱりハマリ役と見えて若いころから何度も踊っていたようだし、さぞや似合うだろうと想像していたのですが、まことに期待を裏切らない、素晴らしいシルフィード…あ、たぶん、相手役のオフチャレンコもとてもいいと思う^^;

 ざっとあらすじを言えば、これはオフチャレンコの衣装でわかる通り、昔のスコットランドが舞台。恋人との婚礼を控えたジェームズが暖炉の前でうたた寝していると、そこに風の精シルフィードが現れる。このシルフィードはジェームズのことが好きで、ジェームズの周りで嬉しそうに踊っているが、ジェームズが目覚めると暖炉の煙突から逃げていってしまう。その夜、再びジェームズのもとに現れたシルフィードは、ジェームズの結婚を知って悲しげに嘆く。当日、シルフィードは式を妨害してジェームズを森に誘い、ジェームズや仲間のシルフィードたちとともに楽しげに舞い踊る。ジェームズのほうもすっかりシルフィードが好きになるのだけれど、風の妖精の悲しさで、抱きしめようとしてもいつもするりと手を抜けていってしまう。ジェームズは占い師の魔女―自分が先に彼女を不吉な占いのゆえに脅迫したのも忘れて―に知恵を借り、シルフィードの翼を奪うべく、魔法のショールをシルフィードにまとわせる。と、シルフィードの翼は落ち、しかしシルフィードも苦しみだした―ショールは、魔女が復讐のためにジェームズに与えたものだったのだ。シルフィードはジェームズに最後のキスを投げて息を引き取ってしまい、ジェームズはそこに泣き伏す。
 前に妨害された婚礼のほうはというと、相手の娘に片思いしていたジェームズの友人が、目撃したジェームズとシルフィードとの関係を娘にバラし、ちゃっかり自分が彼女と結婚してしまう。いよいよショックを受けたジェームズは、絶望に打ちひしがれて、自らもまた息絶えてしまう。

 うーん、なければ収まりが悪いとはいえ、最後の場面は余計だな…シルフィードのためだけに死んだほうが劇としては美しかったろう。けど、余計とはいえ、これがあると変に悲劇が現実的で、意地悪になって、それはそれで別種の味わいがないでもない。

 カプツォーワのシルフィード、かわいい〜、まったくの妖精。いたずらっぽい仕草や表情が何とも言えず。しかし、最後に死ぬところは、ほんとうに可哀そう…心なしか、音声にも、観客の鼻をすする音が。しかし、いかにも名演技なので、ウルウルしながらも何回も見てしまう(そしてジェームズのバカ、と思ってしまう)。あえて難を言えば、これを見ていると、あちこちで「明るい小川」に思い当たるところがあって、ニヤニヤしてしまうこと^^;

 ついでに、別の時のだけど、ヤーニンが演じるシルフィードの魔女(魔女役は男性でも女性でもする)。

 こんな怖い魔女を怒らせると、あとでとんでもないしっぺ返しが来るということを、ジェームズはちゃんと知っておかなくてはならないぞ。

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2018年12月 7日 (金)

ザ・レッスン

 これまた一般の「バレエ」の概念からは程遠い、奇妙な、不条理芝居めいたバレエ、「ザ・レッスン」。

 黄色い陽気なレオタードに身を包んだかわいい女生徒が、なんだか精神的に不安定そうな男性バレエ教師にバレエのレッスンを受ける。その二人のレッスンの伴奏をつけるのは、どこかよそよそしげな女性ピアニスト。

 「ザ・レッスン」は半時間ばかりの一幕もので、舞台の転換とかはないけれど、動画の部分は前半の一場面。バレエ教師が生徒にバーレッスンを指導しているうち、だんだん素振りが怪しくなっていくところ。

 

 これは英ロイヤル・バレエ、教師役がヨハン・コボー、生徒役がアリーナ・コジョカル。このペアのここの演技はたいそう素敵で、コジョカルは無邪気なかわいい生徒そのものだし、コボーは妙にビクビクオドオドした不審な教師。生徒が開脚しすぎてイテーという顔になったり、教師が指導中に生徒の胸に触りそうになりアワワ〜となったりするのは、ダンスの振り付けのようなもので誰が演じても同じことをするのだけど、このペアのがいちばんコミカルでいい感じ。これが途中から、次第に不安げな、荒々しい雰囲気に変わっていく…コメントに「最後まで見てみたい!」という意見があるのももっともで、私も見られるものなら最後まで見てみたい(もっとも、最後は、えらいことになるのだけど)。

 こちらはボリショイ、教師がドミトーリィ・グダーノフ、生徒がニーナ・カプツォーワ。こちらもかわいい生徒だけど、この場面に関してはコジョカルに負けるかな…が、色気では勝るので、教師が生徒の太腿の魅惑に心のバランスを失いかけるところでは、説得力が上かも^^;グダーノフの先生は、コボーよりずっと地味な感じだけど、生徒に密着して肩にアゴを乗せるところがなにげにいやらしい。それと、バーレッスンの時の動きが水際立って美しくてビックリ、さすが先生。

 それからこれは、画像が悪い(1998年)けど始まりから前半部分ぜんぶの動画。先生がセルゲイ・フィーリン、生徒はインナ・ペトロワ(この御両人はもとご夫婦だとか)。ボリショイかな…
 先生の登場の前、生徒が授業を待ちかねて嬉しげに1人で踊る場面で「それだけ踊れたら習わなくていいじゃん」と突っ込みたくなるのはお約束。
 で、先生役のフィーリンはどうかというと、これが見るからに変質者。コボーやグダーノフのは、まだしも一見常人に見えたけど、フィーリンのはもう最初っから100%ヤバい…と思っていたら、これが後半になるとさらにエスカレートする!もう、鬼ですよ、鬼畜生。最初の変質者ぶりがおとなしくマジメに見えるくらい。
 これ、画像が荒くてモノクロなのが、いっそう怖く見せてるんだろうな…精細なカラーだと芝居臭かったり仰々しく見えたりする部分もあるのだろうけど、画像の粗さがうまくそれを隠して、かえって一種の味わいというか、陰惨な空気を出している。何にしろ、この先生が、別の場所じゃ白鳥のプリンスであるとは到底思えない感じ^^;

 その怖い後半と、このレッスンの結末が如何に相成るかを見届けたい方は、こちらをどうぞ。

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2018年11月23日 (金)

「アニュータ」のヤーニンのダンス

 「アニュータ」はバレエだけど、ストーリーがハッキリした、一種ソープドラマみたいなバレエ。喜劇でもあれば、悲劇でもある内容。

 アニュータは、主人公の娘さんの名前。アニュータは若く美しく、似合いの恋人もいたのだけど、家庭の貧乏にせまられて、やむなくハゲでチビでデブでそのうえドケチだが小金持ちの役人モデストと結婚する。ある晩、モデストといっしょに舞踏会に出席したアニュータは、その美貌を貴族の閣下に見初められ、夫のモデスト公認(というかその薦め)で閣下の愛人となる。モデストは閣下への献身?により、かねての念願だった勲章を閣下からさずけられて有頂天となり、アニュータはアニュータで、貴族のぜいたくな生活と閣下の寵愛にすっかり満悦し、相変わらず貧乏に苦しんでいる実家の家族のことをすっかり忘れ果て、道ですれ違っても気がつかないまでになる、というストーリー。

 こういう”妻を売って身を立てる夫”は、『金瓶梅』とか『紅楼夢』といった昔の中国の小説にはよく出てくるもので、話としてはいかにもひどいけれど、当時の世相として、貧乏人と貴族との格差が現代では思いも及ばぬほど絶大だったこと、それは経済力のみならず法律上でもそうだったこと、等をわきまえておかなければならないと思う。当時だって、妻に身を売らせてもうけるような夫が、大いに軽蔑され非難もされたのは現在と同じだったけれど、当時は、そうしなければ貴族に対して罪になるという考え(あるいは言いわけ)もまた通用したのだ。逆らえば、職を失ったり、刑務所に入れられたり、最悪の場合は殺されたり流罪にされたりする恐れさえあった。―しかも、それがある程度法律でも認められてもおり、”地獄の沙汰も金次第”で少々度を越しても貴族は何とかなったのだ。そういう世相である以上、無実の罪に落とされるよりは、目をつぶるかわりにもうけるだけもうけよう、という気に小市民がなっても不思議ではない。そして、不思議ではない以上、世相一般も、そういうことに対するモラルが今よりずっとゆるかったのである。
(もっとも、中国の小説の場合は、身を売る妻のほうもしっかり相手から金を引き出し、家計の足しにするのを忘れないのだけど。ロシアと中国では「家族意識」に差があるのかもしれない。)

 「アニュータ」は貴族の閣下とそれにへつらう役人との人間関係だから、格差はそこまで極端ではないけれど、それでも似通ったものはある。勲章を首から下げることに熱烈な憧れを持っていたモデストのように、特別執心する対象がある人間なら、現代でも、権力者にすり寄って妻をも奉りかねないようなのは、いないでもないのでは…

 さて、ストーリー中の役柄としてはずいぶんひどいモデストを演じているのは、バレエ・ダンサー中随一の腕達者ゲンナジー・ヤーニン。閣下から勲章をいただき天にも上る喜びを味わう場面&役所の下役たちからうやうやしく奉られてご満悦の場面。

 

 ろくでもない行いで手に入れた勲章なのだけど、あまりにも歓喜はなはだしいありさまが笑いを誘う^^;いとおしげに首に手をやったり、威張ってふんぞり返ったり、急にへたへたとなって十字を切ったり、かと思うと嬉しさのあまり欣喜雀躍したり…つい「よかったね♪」と声をかけてしまいたくなるほどの喜びよう^^;
 職場で部下たちにヘイコラされる場面では、一転して「余は叙勲者であるぞ」状態。床にひれ伏す(倒れ伏す)部下たちを跨いで歩き、最後はお尻を踏んづける傲然ぶり。

 次いで、職場での精励?ぶりと閣下の前での縮こまりぶりがあざやかな場面(先の場面の終わりのシーンでのスピン&ポーズもすごい)。

 部下が上役から書類を受け取る踊りというのも珍しいのでは^^;
 ここでの圧巻は、名づけて「そろばんダンス」。ロシアのそろばんは(そろばんはいろんな国にあるらしいが)縦方向に持つと見えるけど、それを手に持って注視して上半身を動かさず、足だけで、その場を動かずに踊る。どんなバランスをとっているんだろう^^;そして閣下がやって来ると、にわかに硬直して棒立ちになり、文字通り小腰をかがめてごあいさつ。閣下がいなくなると、今度はそろばんを振り回しつつ勢いよく踊りだし、右に左に縦横無尽だが、またもや閣下が入ってくると、たちまち棒立ちになってペコペコとごあいさつ。―この時イネムリしていた部下は、そろばんで顔をこするお仕置き^^;
 最後、後ろ向きで、ポワントでダダダダーッと袖に引っ込むところもすごい。
 というか、この幕、バレエというよりほとんどお芝居―無言劇じゃないか^^;

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2018年11月19日 (月)

ガムザッティのヴァリエーション

 ラ・バヤデールのガムザッティのヴァリエーション、マリヤ・アレクサンドロワ。

 このガムザッティ相手では、たいがいのニキヤは負けると思われます^^;
(ラ・バヤデールは、ソロルという男性をめぐって王女ガムザッティと舞姫ニキヤとが争う物語。ソロルとはニキヤのほうが先口なのだけど、よくある話で、王が娘のガムザッティとの縁談を持ちかけると、ソロルは王権と王女の美貌とについふらふらとなって、ニキヤからガムザッティに乗り換えてしまう。ニキヤはガムザッティの婚約披露宴で蛇によって毒殺されてしまうが、後日、ソロルとガムザッティとが寺院で婚礼を挙げると、そこにニキヤの亡霊が現れ、同時に寺院が崩れ落ち、婚礼に集まっていた人々はみな非業の死を遂げてしまう、というストーリー。)

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2018年11月 2日 (金)

『明るい小川』ヤーニンのアコーディオン弾き、逢い引きの段

 ゲンナジー・ヤーニンの変てこダンス。

 これはボリショイ・バレエ、というよりボリショイ喜劇、ボリショイ吉本と言いたくなる『明るい小川』からの一幕(動画の画面がもともと小さいので、できればYouTubeからシアター・モードかフルスクリーン・モードでご覧ください)。

 ひと昔前のソ連(現ロシア)の共同農場、いわゆるコルホーズでの収穫祭にあたり、都会からカッコいいバレエ・ダンサー、バレリーナ、アコーディオン弾きの3人が招待されてやって来た。3人はお祭り当日すばらしいダンスを披露して(アコーディオン弾きも演奏じゃなくなぜか踊る^^;)農民たちにヤンヤの喝采を博したが、このアコーディオン弾きのオジさん、自分のダンス中に飛び入りしてきた若い村娘に気を引かれ、夜中の逢い引きの約束を(おそらく強引に)取り付けた。さてその時至り、大いに伊達男気取りでベンチで待つ娘さんのところにやって来たが…

 よーく見ると、ん?おじさんは気づいてないが、ベンチの後ろに何か隠れてるみたいだぞ?

 好きものアコーディオン弾きを演じているのは、ボリショイきっての役者ダンサー、ゲンナジー・ヤーニン。私が思うに、ボリショイでいちばんダンスがうまいのは、ザハロワでもスミルノワでもなく、メルクリエフやカプツォーワですらなく、おそらくゲンナジー・ヤーニン。このハタ迷惑な色気、怪しい身ぶり、珍妙でしかも完全無欠なダンス、眼福とはまさにこのこと。もうむやみにおかしくて、お客さんなんか、ヤーニンが踊り出す前からすでに笑っています。見ているだけで寿命が伸びそうです^^

 この人は、しかしボリショイのプリンシパルではなく、契約ダンサー。メルクリエフも、カプツォーワも、みんな契約ダンサー。現在ボリショイ・バレエ団でもっともデキるのはプリンシパル連ではなく、契約ダンサー連だと見えます。正社員より契約社員のほうが優秀という、どこかの企業みたいですな…

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2018年10月18日 (木)

明るい小川

 バレエ「明るい小川」…もし、昔「ドリフの大爆笑」でバレエをやったとしたら、たぶんこんなふうになったろうと思われるギャグ・バレエ(全体というより二幕目ね)。

 WIKIでの説明ではサッパリなので、あらすじを言うと、ひと昔前のロシア、いやソ連、の片田舎の農場―学校で勉強したコルホーズというやつ―で、収穫祭を開くことになり、その目玉としてモスクワからバレエダンサー、バレリーナ、アコーディオン弾きのトリオが招かれてくる。招いたのは収穫祭の組織委員長みたいな人だけど、これがバレリーナに一目惚れ。ところがそのバレリーナは、委員長の奥さんの同窓生で、昔のバレエ仲間だったので、奥さんの肩を持って、パートナーのダンサーや村人ともどもけしからん浮気夫(と村娘にチョッカイをかけているアコーディオン弾き)に制裁を加えることを決意する…というもの。

 動画ひとつめ。これはバレリーナとダンサーが収穫祭で都会仕込みのダンスを披露して、村人たちにヤンヤの喝采を博するところ。アコーディオン弾きも踊るが、この踊りもすごい…

 動画ふたつめ。実は、けしからんのは浮気夫と好色アコーディオン弾きだけでなく、田舎に別荘を構えていた老夫婦ふたりもそうだった。この二人、年甲斐もなく、それぞれ若いバレリーナとダンサーに懸想して、お互いこっそり逢い引きの約束を取り付けていたのだ。もちろん、これまた制裁の対象にされる。その恐るべき制裁とは?

 老夫はバレリーナに扮したダンサーと、老妻はダンサーに扮したバレリーナと、それぞれだまされてデートさせられる、というもの。…というか、これでは老夫婦でなく、バレエのペアに対する罰だ^^;

 しかも、いかに老眼とはいえ、夫婦が揃いもそろってだまされる、…まあ、お約束だけど^^

 自転車で颯爽と?登場する老夫の珍妙な格好(ブーツ、花、ライフル、帽子)は、何でも女性に好かれそうな格好をと頭をひねった結果。真っ赤なドレスでしゃなりしゃなりとお出ましの老妻は、アコーディオン弾きを追っ払った猛犬がご機嫌で自転車で帰宅するのと遭遇し、その場で気絶する。

 もちろん、上の動画のダンサーとバレリーナは、下の動画中の女装ダンサーと男装バレリーナと同一人物ですよ^^白い衣も気高いバレリーナは、私は見たことがまだないけど「シルフィード(人間の男性に恋をする風の妖精)」を気取っている由です。踊り疲れたら股広げて地べたにしゃがみこみ、老夫の水筒(酒)をひったくって一気にあおるシルフィード^^;

 それにしても、ダンサー(メルクリエフ)もバレリーナ(クリサノワ)も名演技ですな…特にメルクリエフ、男性のときは優美でセクシーでさえあったのに、女装したら歴然たるおっさんだ^^;―この役、他にも王子様役で名高いフィーリンや濃い顔で有名なツィスカリーゼなんかも演じているのだけど、彼らが「男が上手にバレリーナの踊りをやってみせる」のに対し、メルクリエフは「おっさんがバレリーナになったらこうなる」のを実に巧みに演じている。これは子供に見せても大喜びされるだろう。クリサノワも、男役のダンスはカッコいいし、大げさな表情がかわいらしい。

 バレエって、もともとは大衆向けの無言劇から発生したんだろうな〜と思わされました。ゲラゲラ笑えますよ〜^^

 追記。ほんとのシルフィード。スコットランドが舞台だから、男性が例の民族スカート衣装。これを見ると、パクったところがわかって面白い^^

 シルフィードは風の精なので、とらえようとしても手をすり抜けてしまう、という設定。だからパドドゥでも手をつながない。上のおっさんシルフィードもお相手からせいぜい逃げようとしているが、それはもちろん別の理由から。

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2018年10月11日 (木)

ゲンナジー・ヤーニンのゴールデン・アイドルともひとつ

 ゲンナジー・ヤーニン(1968?〜)のラバヤデールのゴールデン・アイドル。このアイドルは「偶像」の意味で、ピチピチの娘のことじゃありません^^;王女ガムザッティの婚約式に花を添えるため披露される、さまざまのダンスのうちの一つですね。コスチュームが全裸の金粉塗りみたいに見え、一見いかにも前衛的でいかがわしげですが、どうして、すごいですよ。

 うまっ。  

 もうひとつ、ファラオの娘から、ヴァリエーション。古代にタイムスリップした教授がファラオの娘と恋するという、なんかの漫画を思い出させるストーリーのバレエ^^;、これはいっしょにタイムスリップした教授の従者の滑稽ダンスみたい。

 うーまっ。

 この人は道化役とか三枚目役の専門だった(背が低かったからとか?)みたいだが、いやもったいない。王子とかをさせてもすごかったろうに。

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2018年10月10日 (水)

黄金時代・タンゴ

 バレエ『黄金時代』のタンゴ。これはガラ(いろんなバレエからいろんなシーンとかダンスを持って来て、集めて、お楽しみ会みたいに上演するもの。まあバレエ一日お祭り?有名ダンサーもよく出るので、ファンも大喜び)から。踊ってるのはカプツォーワとドミトリーチェンコ。

 これはどんな筋のバレエかというと、黄金時代というナイトクラブだか酒場だかダンスホールだかがあり、そこの踊り子が地元の漁師の青年と恋仲になって、割り込んでくるギャングの親分とかその情婦とかの横恋慕/嫌がらせを乗り越え、愛を成就しました…というものらしい。共産時代のお約束ストーリーの由で、すでに結果がわかっているようなもので、筋としては大したことはないが、しかしロシアの人たちが見れば細部にいろいろ思い当たるところがあるのか、なかなか人気があるらしい。

 で、カプツォーワは踊り子のリタ役、黒服のドミトリーさんがギャング役。リタは、すでに漁師の恋人がいるから、迫ってくるギャングが疎ましいのですね。だから気の乗らない、冷めた表情で踊っているわけです。―まあ、それにしては一糸乱れず息が合ってますが^^;

 ずっと以前、この動画をチラ見した時は、全然タンゴじゃないじゃんつまらないや、とすぐ見るのを止めたのですが、いま腰を据えてよく見ると、あら、悪くないですね〜。バレエだからタンゴじゃないし、そうかといってふつうのいわゆるバレエでもないけれど、でもいいや。

 「全身可憐なカプツォーワだから、色っぽい役はちょっと…」とか思ったりしてすみません。この人、カルメンとかニキヤでも大丈夫だ…というか、それ、見たいぞ〜

 ところで、カプツォーワ、この一ヶ月後にボリショイシアターで踊ったのが16歳のオーロラ姫…またこれが似合ってて可愛いのなんの。美人は得、というけれど、そしてそれもそうだろうけど、それらしい佇まいとかしぐさとか雰囲気とか、やっぱり何より演技力がものを言ってるんじゃないかな…

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2018年10月 8日 (月)

黒鳥の誘惑、三者三様+α

 白鳥の湖に、こんなおもしろいパドドゥがあるなんて知らなかった^^

 悪魔の娘オディールが、白鳥オデットに恋する王子ジークフリートを誘惑する場面。パドドゥはあまり好きじゃないのだけど―延々踊るばかりだから―これは合間合間に演技がはさまるので面白い。
 
 黒鳥は王子と踊りながらも、王子が熱を上げてくると不意に拒否したり、かと思うと大胆に王子に身を投げかけたりして、誘惑の限りを尽くす。これじゃ純情な王子、たまらないよな…

 

 これはニーナ・カプツォーワの黒鳥。かわいらしいカプツォーワには向かない役だと思ってたけど、どうして、大胆に誘惑しています。この人、ほんとに役者だな…
 小悪魔ふうなんだけど、しかしキャッキャした小悪魔じゃなく、冷静な小悪魔。可憐なんだけど、すごく悪い妖精。拒否のしかたがピシャッとしてる。白鳥の真似(だと思う)をして、床に伏せて翼を動かしつつ王子をじっと見るようすは、「ほら、あなたこれが好きなんでしょ?」という感じ、実に意地悪。しかも王子がたまらず駆け寄ると、すかさずサッと腕を突き出し「ダメよ!」と拒絶…そりゃ、王子も、わけがわからなくなって、ふらふらになるわ…

 で、王子が隅っこで苦悩したり懐疑したりしてるあいだ、父の悪魔―何だかお洒落なコーチみたい―のところに戻っては、こそこそ悪いアドヴァイスを受けているのがナイス。「パパ、あいつだいぶ参ってきたわ」「よし、じゃ次はもっと大胆にいってみろ」みたいな^^;

 なお、これはボリショイじゃなくタタール国立劇場?か何かでの演技、音楽家との共演を兼ねてる?みたいなので、音が素晴らしく綺麗。

 これはウリヤーナ・ロパートキナの黒鳥。いきなり踊りが絶え入るばかり美しいので、別に誘惑しなくても、王子が勝手にひとりで落ちるだろうから大丈夫と思わせます^^

 この黒鳥は、誘惑的というよりも、何だか王子に興味がないような黒鳥。二人で踊っていても何だか非協力的な感じで、王子が腰に手を回してきても「あら、いたの」みたいな様子で、拒否のしかたもあまり熱がなく、王子を眼中に置いてないみたい。そのくせ要所要所できちんと誘惑してきて、怖いくらい綺麗な黒鳥…
 ここでは悪魔パパも、歩きまわったり、黒鳥を王子から引き離してみたりと、なかなか動き回ります。王子を操るためだ、とする解説があったけれど、まあこのロパートキナの黒鳥に関しては、パパの助けはいらないでしょうな。

 定番中の定番、スヴェトラーナ・ザハロワの黒鳥。これは…綺麗です。

 うーん、悪くないけど、もっと演技がほしい、まあ好みの問題だけど。ただダンスするとか、オデットのようにそこはかとない悲哀とかほのかな愛情とかならいいのだろうけど、この場面みたいに表情と内心が矛盾するとか、笑中剣ありとか、腹黒い策略を楽しみつつ実行とか、そういう表現になるとちょっと食い足りない…

 ここでの悪魔パパは、どっかりと椅子に腰掛けたまま動きません。娘が王子を落とすのを確信している…というより、ザハロワの動きをお客さまに堪能していただくため、あえて後ろに控えているのでしょうね。
 最後のほうで、黒鳥が片足立ちしたままで王子と結んでいた手を互いにパッと離すところがあるのだけど、ここが変にもたついて、なかなか手がほどけなくて、やっとほどけた時は思わず客席から拍手が起こってました^^;

 で、上3者とは振り付けがだいぶ違うけど、マリアネラ・ニュネツの黒鳥も。

 ビックリするほどあざとい黒鳥。王子が、―当時、このペアはほんとにカップルだった由だけど―、情熱的に手を取ろうとするたびに、「あら、手が」みたいな調子で笑いながらヒョイと引っ込めてしまう。うろたえて傷つく王子の表情がラテン系でなかなかよい。この黒鳥は、拒否こそしないけど、存分に男をもてあそんで面白がるタイプです。
 もてあそばれる王子、可哀想に…と言いたいところだけど、この王子、顔つきが大柄で、表情が派手なので、悪いが見ていてとても愉快^^;

 パパ悪魔もここでは大活躍、娘に耳こすりをしたり、いかにも手で遠隔操作ぽい動きをしたり、舞台をのし歩いたり、王子から黒鳥を取り上げて踊ったり…途中、突然悪魔の手下ども(黒服で立ち尽くしている人たち)がザワザワと一斉に立ち上がり、舞台に詰め寄るようなシーンがあったので、何事かと思いましたが、どうやら窓の外で王子に呼びかけようとする白鳥オデットの妨害に入ったようです。

 ちなみに、このペアはコーダ(このシーンの一番最後)もとてもよいので、是非ご覧を。とことん男をじらし抜く、悪い黒鳥ですよ^^
 総じてここの『白鳥の湖』はお芝居っ気たっぷりのようですね…何だか全幕見たくなったな〜

  私はちょっとしたしぐさや表情から、えもいえぬ空想がいろいろと紡ぎだされてくるようなバレリーナが好み。「こんなことを企んでるな」「こんな気持ちをこめているな」などと揣摩憶測しながら見ているのが楽しい。それってバレエの楽しみ方?と言われるとどうもわからないけど^^

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2018年10月 3日 (水)

好きなバレリーナ

 最近バレエをYouTubeで見るのが好きになり、しかしまったくのシロウトだから、何でも自分の気に入ったバレリーナが踊ってるのを探しては何度も繰り返し見、ウットリとしている。きちんとしたバレエ・ファンから見れば、はなはだけしからん見方だろうけど、思うに、シロウトをも動かす魅力を発揮しているという点で、私の愛好するバレリーナたちはやはりただ者ではないのだろうとも思う。

ニーナ・カプツォーワ
 踊るフランス人形。
 どうして、この人に関する情報が日本じゃあまり見つからないんだろう。見つかっても「”青い鳥”のが可愛かった」ばっかり・・・そりゃ、可愛いけど。
 すごい演技派、すごい可憐さ、手や足や肩での表現力は天下一品。この人、お芝居の世界とかでもやっていけそう…ポワントでの動きには独特の可愛らしさあり。
 元気で芯がシッカリした女の子役がはまるけど、薄幸の美少女とかの役もアリ、コミカルな演技までこなし、いわゆる「キャラ立ち」する役にうってつけ。
 ただ、あまりにも可憐な容姿と雰囲気ゆえ、貫禄ある大人の女性の役とかは似合わないかも…まあ、演技力で相当はカヴァーしちゃうと思うけど。
(追記:この人の黒鳥を見て、考えが変わりました…これならカルメンでも、瀕死でも、いけそうだ〜)

マリーヤ・アレクサンドロワ
 踊るギリシャ彫刻。
 この人のガムザッティを見て、初めて「威風あたりを払う」とはどんな感じかがわかった^^;
 威厳・迫力がただならない。そして、技や動きがみなバレエの教科書から出てきたかのよう…足が鋼鉄でできてるんじゃないかと思うほどの安定感とバランス、そして力強さ(もっとも、まだこの人の動画はまだほんのちょっとしか見ていないのだけど)。
 演技力も相当…まあ演技力に乏しい人から威風が感ぜられるわけはないけど。ガムザッティvsニキヤの”修羅場”をダンスなしの総マイムで演じていたけど、ほんとうに怖かった。
 でも、この人はやっぱり堂々たる女王とか誇り高い王女とか、リーダーシップのある役どころが似合いそう。この点、カプツォーワとは反対かも。

ウリヤーナ・ロパトキナ
 踊る女神さま。
 生粋のダンサー。バレエの枠を超えて、正真正銘の踊り手。この人なら、ストリート・ダンサーとしても生活できそうだし、日本舞踊だって踊りこなすだろう。だから演技力や表現力もすごいものがある(ガムザッティのアレクサンドロワ相手にニキヤで修羅場の演技は、ほとんど女優張り)。
 有名な「瀕死の白鳥」なんか、ほとんど哲学的と言いたいような深さ。その一方で、肝を奪う「カルメン」のセクシーさやカッコよさ、「白鳥の湖」の優婉典雅さ。何でも踊れるし、踊りたそうに見える。この点、アレクサンドロワは「カルメン」は残念な感じだったし、―彼女はやっぱりバレエバレエしたのがいいのだろう、―カプツォーワはだいたいその動画がなかったけど、まあそのほうがいいような気がする^^;(後記:いや、カルメンでもいけるぞ!黒鳥であれだけの悪女っぷりなら)。
 この人の場合、「何の役か」よりも、「どんな踊りをする役か」のほうが重要かも。

 こうして見ると、私は演技が達者なバレリーナが好きみたい…それと、何か飛び抜けた個性のある人。
 シロウトだからおのずとそうなる、というのももちろんだけど、仮にバレエについて相当詳しくなったとしても、この好みは基本的には変わらないんじゃないかな…
 まあ、まだ他にも気になるバレリーナもいるし、趣味としては、今がいちばん楽しめる時かも^^
 

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