訳詞・李清照詞

酔花陰

薄霧濃雲愁永昼
瑞脳消金獣
佳節又重陽
玉枕紗廚
半夜涼初透

東籬把酒黄昏後
有暗香盈袖
莫道不消魂
簾捲西風
人似黄花痩

うすぎりわたる ひるさがり
きんの炉に こうたえて
まためぐる きくのころ
うすぎぬの とばり
すずしさは しみとおる

たそがれにくむ きくみざけ
そでにみつ かぐわしさ
いうなかれ ふうりゅうと
あきかぜに ひとは
きくのごと かげほそし


如夢令

昨夜雨疏風驟
濃睡不消残酒
試問捲簾人
却道海棠依旧
知否
知否
応是緑肥紅痩

はるのあらしのふきこして
あしたにのこるよいのさけ
はなはいかにとといみれば
ことなくありとひとはいう
はていかに
はていかに
みどりばかりになるものを


添字醜奴児

窓前誰種芭蕉樹
陰満中庭
陰満中庭
葉葉心心
舒巻有余情

傷心枕上三更雨
点滴霖霪
点滴霖霪
愁損北人
不慣起来聴

誰がうえそめし ばしょうの木
かげくらく
かげくらく
くるくると
巻ける葉の おもしろさ

まくらさびしき よるのあめ
ぱらぱらと
ぱらぱらと
葉を鳴らし
たびびとを ねむらせず


武陵春 春晩

風住塵香花已尽
日晩倦梳頭
物是人非事事休
欲語涙先流

聞説双渓春尚好
也擬泛軽舟
只恐双渓舴艋舟
載不動 許多愁

かぜふきさりぬ はなのとき
みだれがみ すくも憂し
かわらぬきせつ かわるひと
いわんとし なみだぐむ

たにまのおくに はるもとめ 
ふねこぎて ゆきたけど
うらみつらみに 重る身の
うかぶこと はたありや    


浣渓沙

小院間窓春色深
重簾未捲影沈沈
倚楼無語理瑤琴

遠岫出山催薄暮
細風吹雨弄軽陰
梨花欲謝恐難禁

はるたけなわの まどげしき
とざすすだれの かげくらく
ひとりあわせる ことのいと

あかりうすれる やまのみね
こさめまじりの よいのかぜ
さらばをつぐる はなの惜し