訳詞・その他宋代詞

y蘇幕遮  懐旧    范仲淹

碧雲天
黄葉地
秋色連波
波上寒煙翠
山映斜陽天接水
芳草無情
更在斜陽外

黯郷魂
追旅思
夜夜除非
好夢留人睡
明月楼高休独倚
酒入愁腸
化作相思涙

あきぞらに
もみじはあかく
ひややかな
かわづらはるか
やまを染め ゆうひかたぶき
あきくさの
かげ早やおぼろ

たびぞらに
おもうはわが家
よごとみる
ゆめにめさめて
たかどのに ひとりつきを見
のむさけは
みななみだとなる


慶佳節      張先

莫風流
莫風流
風流後
有間愁
花満南園月満楼
偏使我
憶歓遊

我憶歓遊無計奈
除卻且酔金甌
酔了醒来春復秋
我心事
幾時休

なさけをば
なさけをば
しらばうれいの
たねとなる
つきのあかるいはなのよい 
むかしのこいの
しのばるる

むかしのこいをしのべども
いまはてじゃくでようばかり
ようてさめては またあした 
うれいのやむは
いつのひか


甘草子       柳永

秋暮
乱灑衰荷
顆顆真珠雨
雨過月華生
冷徹鴛鴦浦

池上凭欄愁無侶
奈此箇
単棲情緒
卻傍金籠共鸚鵡
念粉郎言語

はすのはに
たまちりばめて
しぐれさり
つきさしのぼり
うらひえわたる

ひとり身をよす池の亭
さびしさを
やりかねて 
かごのおうむにまねさせる 
きみがむつごと


如夢令       秦観

門外鴉啼楊柳
春色著人如酒
睡起熨沈香
玉腕不勝金斗
消痩
消痩
還是褪花時候

やなぎにさわぐ あさがらす
酒よりおもき 春げはい
金の香炉を てにとれば
おもみにさがる ほそきうで    
いたいたし
いたいたし
はなちりいそぐ ときのすえ


横塘路(青玉案)      賀鋳

凌波不過横塘路
但目送 芳塵去
錦瑟華年誰与度
月橋花院
瑣窗朱戸
只有春知処

飛雲冉冉蘅皋暮
彩筆新題断腸句
若問間情都幾許
一川煙草
満城風絮
梅子黄時雨

さりゆくひとを ただみつめ
さるにまかせた そのひより
おもいでのみを かたわらに
花の苑生の
わびずまい
さびしさは はるのみぞしる

ようやくせまる たそがれに
しらべかなしい うたをよみ
うめの実にふる さみだれや
ちりしくはなを 
なおしのぐ
ここだくの おもいをぞ吐く


醜奴児       辛棄疾

少年不識愁滋味
愛上層楼
愛上層楼
為賦新詞強説愁

而今識尽愁滋味
欲説還休
欲説還休
却道天涼好箇秋

うれいをしらぬ わかきころ
みはらしだいに
みはらしだいに
のぼりてきどる なげきびと

うれいつもれる おいのいま
なげきをかくし
なげきをかくし
しいてたたえる あきげしき


暗香       姜夔

(上)
旧時月色
算幾番照我
梅辺吹笛
喚起玉人
不管清寒與攀摘
何遜而今漸老
都忘却 春風詞筆
但怪得 竹外疏花
香冷入瑶席

つきのいろ
かつてのままぞ
うめのもと
よきひとに
ひともと手折り わたす日に
老いぬる身の むなしさや
ふうがのざえも おとろえど
つめたき席に あやしまる
きよきはなの香  

(下)
江国
正寂寂
歎寄與路遥
夜雪初積
翠尊易泣
紅萼無言耿相憶
長記曾携手処
千樹圧 西湖寒碧
又片片 吹尽也
幾時見得

水郷は
いとさびし
みちははるかに
よをこめて
ふるゆきに
泣けるさかづき ものおもい
見るはなに 恋よせば
みどり冷やかな みずうみに
はらはらと ちりかかり
ゆくえ知らずも


疏影       姜夔

(上)
苔枝綴玉
有翠禽小小
枝上同宿
客裏相逢
籬角黄昏
無言自倚修竹
昭君不慣胡沙遠
但暗憶 江南江北
想佩環 月夜帰来
化作此花幽独

つゆむすぶ
こけのしとねに
めおとどり
ひとつのえだに
ふたりねは
たけのかたえに さしのばす
さばくのきみに 嫁きたもう
みやこのひめの 邦恋いの
なみだのたまの 月あかり
いまぞ咲く うめのはな
 
(下)
猶記深宮旧時
那人正睡裏
飛近蛾緑
莫似春風
不管盈盈
早與安排金屋
還教一片随波去
又却怨 玉龍哀曲
等恁時 重覓幽香
已入小窓横幅

みやいにありし いそのかみ
みどりのまゆに
ちりもせし
つれもなき
はるかぜに
かくして籠めよ やかたうち
なみのまにまに ながれなば
笛の音さえ うらめしや
かくては香を したえども
画のうちに しのぶのみ


柳枝       朱敦儒

江南岸柳枝
江北岸柳枝
折送行人無尽時
恨分離柳枝

酒一杯柳枝
涙双垂柳枝
君到長安百事違
幾時帰柳枝

かわのきた
はた みなみ
やなぎなみきも はなむけも
はてしなし

ひとつ飲み
ふたり泣く
みやこは勝手 ちがうべし
とくかえれ