訳詞・その他唐五代詞

花非花       白居易

花非花
霧非霧
夜半来
天明去
来如春夢不多時
去似朝雲無覓処

きみは はな
きみは きり
よわに きて
あしたに さる
おとずれは つかのまのゆめ
たちされば ひとひらのくも


桜桃花       元慎

桜桃花
一枝両枝千万朶
花磚曾立采花人
窣破羅裙紅似火

はなさくら
とえにはたえにさきにおう
はなつむひとのひくすそは
くれないもやすはなのゆき


竹枝       孫光憲

門前春水竹枝
白蘋花女児
岸上無人竹枝
小艇斜女児
商女経過竹枝
江欲暮女児
散抛残食竹枝
飼神鴉女児

みずはぬるみて
はなさかせ
きしにたれぞの
すて小舟
ひさめのもどる
ゆうげどき
からすになげる
あまりくず


江城子       張泌

浣花渓上見卿卿
臉波秋水明
黛眉軽
緑雲高綰
金簇小蜻蜒
好是問他来得麼
和笑道
莫多情

ながれのほとりに みしひとは
まなこきよらに
まゆほのか
みどりのまげに
とんぼ舞う
いちかばちかと きたれといえば
わらいいう
まよえるなかれ


浣渓沙       張泌

晩逐香車入鳳城
東風斜掲繍簾軽
漫迴嬌眼笑盈盈

消息未通何計是
便須佯酔且随行
依稀聞道太狂生

うかれてもどる はるのよい
ふとみるまえの ほろぐるま
すだれのかげの えまいがお

いずこのひとと しりもえず
酔いをよそいて ひた追えば
ちらりきこえた このたわけ


採蓮子       皇甫松

(廾+函)萏香連十頃陂挙棹
小姑貪戯採蓮遅年少
晩来弄水船頭湿挙棹
更脱紅裙裹鴨児年少

みわたすかぎりの はすのはな
つみにきたけど 舟おとめ
くらくなるまで みずあそび
はかまであひるを つかまえた

船動湖光灔灔秋挙棹
貪看年少信船流年少
無端隔水抛蓮子挙棹
遥被人知半日羞年少

ふねからきしを ながめやり
ひそかになげる はすのたね
さだめたひとに うちあてて
やんやのこえに あかいかお


夢江南       牛嶠

銜泥燕
飛到画堂前
占得杏梁安穏処
体軽唯有主人憐
堪羨好因縁        

泥くくみ
やしきにとび入るつばくらめ
安気に梁に巣くえるは
やどのあるじとねたましや
えにしある身か


紅繍被
両両間鴛鴦
不是鳥中偏愛爾
為縁交頸睡南塘
全勝薄情郎

くれないの
ふすまにぬいとる夫婦鳥
汝れを愛でるというでなし
首さし交わし寝るなかを
うらやめばこそ


木蘭花       孟昶

冰肌玉骨清無汗
水殿風来暗香満
繍簾一点月窺人
欹枕釵横雲鬢乱

起来瓊戸啓無声
時見疎星渡河漢
屈指西風幾時来
只恐流年暗中換

玉か こおりか すきとおる
肌えにかおる よるのかぜ
つきのひかりの しのびいる
ねみだれ髪の まくらもと

ねむれぬままに たちいでて
あおぐよぞらに ながれぼし
あきのくるのを まちわびつ 
かわるとしつき ふとおそる


竹枝       劉禹錫 

山桃紅花満上頭
蜀江春水拍山流
花紅易衰似郎意
水流無限似儂愁

くれないにおう もものはな
たぎりわきたつ たにのみず
つぎつぎさくは きみが恋
たえずながるは わがなみだ

楊柳青青江水平
聞郎江上唱歌声
東辺日出西辺雨
道是無晴還有晴

みのもにたれる いとやなぎ
みぎわにひびく きみがうた 
ひんがしひでりで にしはあめ 
おんなごころは かぜしだい   


甘州曲       王衍

画羅裙
能結束
称腰身
柳眉桃臉不勝春
薄媚足精神
可惜淪落在風塵

もすそに
ほそごし
ひきしめ
やなぎのまゆも ものうげに
たくまぬこびの ほほえみ 
うきよに咲くぞ いとあわれ