WFFS関連

2018年7月27日 (金)

アパッチ号、キャリア発覚

 1回目のテストでノン・キャリアだと発表された後、産駒に次々とキャリアが見つかって、再検査を受けていたアパッチ号が、その結果、実はWFFSキャリアであることが裏付けられました。

 記事によると、アパッチの一度目の検査には血液サンプル(大多数の馬は毛髪サンプルだったけど)が用いられたが、今回は毛髪サンプルで検査が行われ、そして前回とは異なる結果が出たということ。前回の血液サンプルは、他の被験馬との取り違えがあったみたいにも読めるけど、検査の時にヒューマン・エラーが生じたとも書いてある。何にしろ、この時同じように血液サンプルで検査を受けた馬たちも、再検査を受けて、以前と同じ結果を得たとのこと。
 誤診断を出した研究所は大いに遺憾の意を表し、この誤診断から再検査の結果発表までの間にアパッチと交配を行ったブリーダーに対し、来春産まれた仔馬の無料WFFS診断を提供する、と言っている。
 それにしても、アパッチと言えば、オランダ1と言ってよいほどの人気スタリオンで、しかも一度はノンキャリアと言われていただけに、関係者の落胆は察するに余りあるな…

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2018年7月13日 (金)

アパッチ号、実はキャリアか?

 オランダのみならずヨーロッパ全域でも人気の高いオランダ温血種のスタリオン・アパッチ号の産駒に次々とWFFSのキャリアが見つかり、実はアパッチ号―自身のWFFS検査ではシロだった―はキャリアではないかという疑いが強まっています。

 最初はインディアンロック号、次いでジョヴィアン号、それから2,3日前にアランゴ号、そして今日オールユーウォント号、いずれもアパッチの産駒。

 さらに、ユーロドレッサージュ他によると、ジョヴィアン号の母馬は検査したところキャリアではなかったこと、またアパッチの半妹がキャリアだとそのオーナーが発表したこと等を信ずるなら、アパッチがキャリアである可能性は非常に濃厚。

 KWPNは、アパッチとジョヴィアンの母馬とを再検査にかけることを発表。前にアパッチの検査に使ったサンプル(hairとある)は、どうやら今までに別の検査にも使われてきた古いもの(こうしたサンプルを常時管理しているサンプル・バンクみたいな機関があるのかな)だったらしく、そのせいで検査に誤りが出たのかも、とも言われている。果たしてそうなら、他の検査済みのスタリオンたちも、再び検査を受けなければならなくなる可能性が出て来る…

 もっとも、アパッチが事実キャリアだったものなら、エヴァーデールやトータルUSの例のように、実際にWFFSに罹患して産まれた仔馬の報告例がありそうなものではあるけれど。

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2018年6月22日 (金)

ジョヴィアン号、キャリア発覚

 昨日、デンマーク有数のスタリオン・ステーションの経営者で、今年だか昨年からだかドイツにも支所を有するようになったアンドレアス・ヘルグストランドが、所有のスタリオンのWFFS検査―デンマーク本国のは終わってるから、今度はドイツ支所の―結果を公表しました。ジョヴィアン号(4歳、KWPN、父アパッチ、なおアパッチ自身はノンキャリア)、フォーシュアー号(3歳、ハノーヴァー、父ファイネスト、ハノーヴァー種は組織的検査を拒んでいるのでファイネストの黒白は不明)が、その結果、キャリアだと判明しました。

 ジョヴィアン号は3歳時のオランダ・チャンピオンで、4歳の今年はデンマーク温血種(DWB)のプレミアム・スタリオンになった、ヘルグストランドの若いスタリオンの中でも1,2を争うエース格。ユーロドレッサージュによれば「今年ドイツ、オランダ、デンマークでもっとも話題にされたスタリオン」「今年のブリーディング・シーズンにもっとも用いられたスタリオン」のうちの1頭で、だから、これは、ヘルグストランドにとってものすごくイタいこと。

 もう1頭のフォーシュアー号も、昨年のハノーヴァー・スタリオンのオークションで、最高額(36万ユーロ、4600万円くらい)をつけたという期待の新鋭。ユーロドレッサージュでも特集を組まれたくらいの馬、むぅ…

 ヘルグストランドは声明で、「他の馬種にも遺伝子異常(による障害)は存在するから、温血種にそれがあってもおかしくはない。これは病気と考えるべきではないが、ブリーダーはキャリア同士の交配を避けなければならない」という趣旨のことを述べていますが、それはたしかにそう。キャリアであっても、スポーツ・ホースとしては何の問題もないのだし、オーナーさえ納得するのなら、繁殖に使うこと(キャリア同士でさえなければ、致命的障害の起こる可能性はない)だって妨げない。ただ、ヘルグストランドをはじめスタリオン・ステーション経営者またホース・ディーラーのような、いわば血統を商品として市場に出して売りさばくのが商売の人種にとっては、「商品にちょっとでも傷がついた」のは、非常に多いライヴァルの手前も、たいへんに不利なことだと思われる。ヨーロッパでは、ブリーディング・スタリオンは競技会で活躍するスポーツ・ホースと同等かそれ以上に貴重視されていて、きわめて高額の商品とも、投資や取引の対象ともされており、コンテストやオークションも数多ければ、それに備えてのトレーニングにかける手間や資金も少なくない。要するに、ブリーディングの世界は、巨額の金が活発に動く非常に大きな取引市場…だからこそ、影響の大きい”風評被害”を何より避けたいわけで、これが、デンマークやドイツの各馬種協会が、今なお頑固にWFFS検査と結果の公表を拒み続けている理由となっているわけ。

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2018年6月17日 (日)

ハノーヴァーのコネセール号、キャリア発覚

 ハノーヴァー種のコネセール号(11歳。発音自信なし^^;)がWFFSのキャリアだと発覚しました。

 この馬については知るところがなかったので、ちょっと調べてみたところ、3歳でスウェーデンの人気スタリオン第4位、4歳でパヴォ・カップ(オランダの若いスタリオンコンテスト)3位入賞、5歳で同6位入賞と、そうそうたるもの。6歳からは、カナダでスタッド・インしている。

(エヴァーデールにしろこのコネセールにしろ、ヨーロッパで大人気だったのに北米へ輸出され、その地でWFFSのキャリアだと判明する、という流れなのは気になる…。)

 このような経歴の持ち主なので、産駒も非常な数に上るのは当然で、影響するところも決して小さくないはずだけど、それでも黙ったままなのかな、ドイツのハノーヴァー協会…

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2018年6月15日 (金)

WFFS続報10

 WFFSについて等閑視を決め込んでいるドイツのハノーヴァー馬種協会ですが、北米のハノーヴァー馬種協会は今日「2019年度のスタッドブックには、スタリオンのWFFSのテスト結果を併記する」との声明を出しました。と言うと、本家のドイツに比べたいへん立派なようですが、これが必ずしもそうではない。
 と言うのも、声明によると、スタリオンのWFFSの遺伝子検査はあくまで”recommend(推奨)”であり、”mandatory(義務)”とはしていないから。そのくせ、スタリオンのオーナーに対しては、2019年初頭に検査結果の報告が”reqwired(要求される)”と言っているのが何とも不可解…また、結果を「陰性」「陽性」「未検査」の3つで公表すると言っているのも、特に「未検査」を公表するというのが、何だかオーナーひとりに責任を負わせるようで、組織としては少々無責任に思われる。

 (ユーロドレッサージュのこの記事をFBから転載しようと思ったけど、画像がWFFSで死んだ仔馬の無惨な姿なので止めました^^;)

 私がこんな記事をいちいち記録しているのは、WFFSに関心があるのはもちろんだけど、それに対する国や人の反応が興味深いから…すぐに検査・公表を導入する国あり(オランダ、スウェーデン。オランダではオランダ温血種協会を挙げて検査を行い、スタリオンに十数頭のキャリアが確認されている)、書面で注意をうながすにとどまる国あり(デンマーク。ブルーホースは早々と自主的に検査を行い、その結果スタリオン11頭中に3頭のキャリアを発見。その半月あまり後、ヘルグストランドが自主検査の結果を一部公表、人気スタリオン2頭にキャリア発覚)、いっさい何もしない国あり(ドイツ。ハノーヴァーもオルデンブルクもラインランダーも、だからまったく罹患率がわからない)。今年12月の会議で話し合いますという世界的組織あり(WBFSH←FEIの兄弟機関)。所有のスタリオンについていっさい検査しない(もしくは結果公表しない)有名スタリオン・ステーションあり(ドイツのショッケモール、トーティラスを繋養しているので有名)。

 歳月が過ぎれば、今の渦中の動向について、あの時はまだ状況が明らかでなかったからとか、一時的に状況を誤解していたからとか、いろんな言い訳が出て来るでしょう。あるいは事態が結局初め恐れていたほどの大事に至らず、「ほら見ろ、何もしなくて正解だった」との意見が出て来ることだって考えられる(実際には、よその人が一生懸命働いてくれたから「大事でない」と判明したのであり、手を束ねて見ていた傍観者には何の手柄も先見の明もありはしないのだけど)。その時にはそれを聞く人も、昔のこととして、何となく納得してしまうもの。が、現在進行形でいろいろな事実が表に表れて来、心配する声があちこちから聞こえてきて、また実際に対策を打ち出すものも出て来る中、それを現に目の当たりにしながら、それでもいくつかの国・組織は腰を上げようとしなかったという事実は、これはいまハッキリ記録して、将来の戒めのため残しておくべきだと思う。「巧遅より拙速を尊ぶ」ということばは、このような見通し不鮮明な状況にこそ当てはまるべき。経費・労力をかけて最終的に何でもないとわかれば、「もったいなかった」だけで済むし、一見は骨折り損に見えても、そのじつ安心という果実をすみやかに入手するという大きな利を得ることができ、かつ「あそこは迅速に事に対応してくれる」という信頼感をも周囲に醸成できる。が、反対に、経費・労力を惜しんだあげく最終的に最悪の結果が判明した日には、まったく目も当てられない。―そうなってからでは、「もったいなかったから」はおろか、言い訳を百出したところで通るものではない。さらに、それまでに稼いできた周囲の信頼さえ失って、一朝味方変じて敵となり、以後は何をやっても疑いや軽蔑の目で見られることにもなりかねまい。

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2018年6月13日 (水)

WFFS続報9

 今まではオランダ温血種、デンマーク温血種、ハノーヴァーなど主にドレッサージュ・スポーツでメジャーな血統でばかり話題になっていたWFFSですが、今度は馬車競技のエースとして知られるヘルデルラント種のあいだでも、この遺伝病が蔓延の恐れを呈していることが明らかになりました。
 ヘルデルラントはオランダ原産の馬で、馬車用馬として作出された馬種ですが、オランダ温血種の作出にも大いに利用された歴史があります。今でも一部のヘルデルラントはドレッサージュ界で活躍しているのですが、今回キャリアだとわかったのは、まずいことにそのドレッサージュ用スタリオンとして大いに人気を博していたコス号。コス号自身は2年前に死亡していますが、おそらく貯蔵されていた凍結精液の検査でわかったのでしょう。コス号の息子のスタリオン2頭、孫にあたるスタリオン1頭も、キャリアであることが明らかになっています(その息子2頭のうち1頭であるウィルソン号は、去年末日本に買われているそうな)。
 アデリンデ・コーネリセンが騎乗して、スタリオン・ショーでよく入賞しているヘンキー号(6歳)は、このコス号の孫ですが、幸いに彼はノンキャリアでした。なお、彼の父―コス号の息子―のアレクサンドロP号も、ノンキャリアだとわかっています。
 コス号はヘルデルラント種のスタリオンとして傑出した存在だったため、彼の血を引く馬はきわめて多い由。おかげでヘルデルラントのブリーダーたちは大いに難儀している由ですが、コス号にしろそのキャリアの息子たちにしろ、オランダ温血種のライセンスを有していた。他の馬種のブリーダーだってうかうかしていられない…

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2018年6月 9日 (土)

WFFS続報8

 WBFSH(World Breeding Federation for Sport Horses)、―こんな組織があるとは知らなかったけど、調べてみると、FEIの兄弟機構か何かで、毎年若いスタリオンの世界選手権を主催してるとこ、大御所のひとつですな―、が、とうとうWFFSに関する声明を発表したと、今日のユーロドレッサージュに記事が出ていました。

 この声明に対し、ユーロドレッサージュの記事の筆者は、大いに呆れ果てているのですが、それも無理はない。WFFSの蔓延の恐れに対して「ただちにパニックを起こす必要はない」というのはともかく、目下これほど問題視されているものを「12月にハンガリーで開催される連盟総会で議論する予定」とか、馬種のライセンスの管理組織やスタリオンのオーナーに対し、検査を要請するのでなく「生産者に対して最善の処置をアドバイスしましょう」とか、危機意識のカケラもうかがわれない内容なのだから…

 記事の筆者はさらに、この声明が、今だにWFFS問題に関して無視を決め込んでいるドイツの馬産界の態度に対してまったく触れていないこと、繁殖牝馬のオーナーが自腹を切って自分の馬のほうを検査しなくてはならないはめになっていることを指摘しています(WFFSは雄雌からひとつずつ子に受け継がれる遺伝子が両方とも異常だった場合に起こる。片方だけが異常だと、キャリアと呼ばれる。キャリア同士の配合で25%の確率で発症するから、スタリオンがキャリアであるとわかれば、牝馬のオーナーは配合を避けるだけでよい。が、わからない時は、牝馬のほうを検査して、遺伝子の異常の有無を調べなくてはならない)。

 いやしくも国際機関でありながら、はなはだやる気のない声明だし、だいたい現状がわかっているかさえ疑わしいと感じられる。悪く勘ぐれば、この機関は、ドイツの有力なスタリオン・オーナーたちに媚びているのだし、12月までにはこのゴタゴタも自然消滅するだろうとタカをくくっているのだし、またそうするうちには個人や各スタリオン・ステーションの自主的検査で(自分らは何も手を下さずとも)たいがいのキャリアは明らかになるだろうから待ってればいいと思っているのだろうな…

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2018年6月 8日 (金)

WFFS続報7

 WFFSについて、「(デンマーク温血種協会による)ルールが制定されるまで、検査は行わない方針」と言っていたアンドレアス・ヘルグストランド、―デンマーク有数のスタリオン・ステーションの経営者兼ディーラー、―でしたが、ほんとうはいささか心配になって来ていたのでしょう、今日のユーロドレッサージュに、「一部のスタリオンのテスト結果」が報告されていました。

 まだ結果が出ていないスタリオンもいるけれど、とりあえずキャリア判明したのが2頭、スプリングバンクⅡ号とatterupgaards(発音の見当がつかない^^;)ボッティチェリ号。

 スプリングバンク号は、2日前キャリアが発覚したラファエル号の産駒。ボッティチェリ号の父はベネトンドリーム号、こちらはキャリアかどうかは不明。スプリングバンク号もボッティチェリ号も、ヘルグストランドのステーションではなかなかの人気スタリオン、しばしば動画で宣伝もされてきた。

 デンマーク温血種(DWB)協会自身はまだ日和見の姿勢(スタリオンの全頭検査を主導せず、オーナーに注意を呼びかけるにとどまる)だけれど、デンマークの2大スタリオン・ステーションのヘルグストランドとブルーホースが自主検査を行ったこと、その結果相当な確率でキャリアが、それも人気スタリオンから見つかったこと、2日前に有名なDWBのスタリオン・ラファエル号が、やはりオーナーの自主検査でキャリアだとわかったこと、並びにこのオーナーがDWB協会に対する公開意見状を発表したこと等で、速やかな対策を迫られることになりそうです。

 さあ、こうなると、いよいよ世間の風当たりがキツくなりそうなのがドイツ。ヨーロッパ1と言っても過言でない馬産並びに馬術大国のくせに、いまだにWFFS遺伝子の検査に関しては、ハノーヴァーにしろオルデンブルグにしろラインランダーにしろ、どこの協会/スタッドブックも、依然様子見のまま。ショッケモールをはじめ有名なスタリオン・ステーションも、どこも自主検査の報告を聞かない。まあ、こっそり検査はしたのだけど(WFFS検査は、デンマークであれドイツの検査機関で行っている)結果を公表するのを渋っている、というのが、あるいは真相に近いのかもだけど…

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2018年6月 6日 (水)

WFFS続報6

 デンマーク温血種の人気種牡馬、Skovens Rafael号(14歳)がWFFS(Warmblood Fragile Foal Syndrome)のキャリアであることが発覚しました。

 ↑記事の写真は、ラファエル号の父・ブルーホース/グロックス・ロマノフ号。

 ラファエル号は有名な人気種牡馬で、相当な数の産駒を出しており、後継種牡馬もすでに出している。この後継種牡馬の1頭が、「WFFSの検査は、ちゃんとしたルールが出来るまで行わない」と声明しているアンドレアス・ヘルグストランドのステーションに繋養されているスプリングバンクⅡ号。FBでも最近まで広告宣伝していたな…

 これで、スタリオン全頭のWFFS検査に腰が重かったデンマークも、ちょっと変わってくるんじゃないかな。

 ラファエル号も、デンマークのステーションのひとつに繋養されているんだけど、どうやらオーナーが自主的に所有馬に検査を行ったもよう(ブルーホースのように)。結果、ラファエルともう1頭の馬―この馬も父ロマノフだけど、グロックの検査によると、ロマノフ自体はノンキャリア―がキャリアだと判明したわけ。

 なお、スタリオン3頭がキャリアだとわかったブルーホース・スタッドでは、いったん供用を取りやめていたこの3頭の供用を、条件付きで再開しました。交配する牝馬がWFFSのキャリアではないことがその条件(WFFSは変異遺伝子が2個そろった時に発症する遺伝病、発症すると仔馬の皮膚・関節に致命的脆弱性をもたらし、多くは流産となるが、まれに出産に到っても致命的症状で産まれてくるので安楽死させるより他ない。キャリアは、この変異遺伝子を1個持っている馬のこと。キャリア同士の交配は、25%の確率で発症を、50%の確率でキャリアの誕生を招く)。

 キャリアとわかっていて、それでも交配を望む人がいるものかなと不思議にも思われるけれど、もともと競技馬には去勢した馬が非常に多い(もとスタリオンが、去勢してスポーツに転向する例も少なくない)のだし、最初からスポーツ目的で配合するのなら、キャリアであることはそう気にならないのかも。オリンピックの金メダリストなんて、去勢馬(騙馬)ばかりだし。キャリアと正常馬との交配なら、正常な子供が産まれる確率は50%あるしね。

 そういえば、昨日かおととい、目下の検査段階ではハノーヴァー種のWFFSキャリア数パーセンテージが、他の温血種馬に比べてかなり高い(全頭数の20%)という記事を見ました。ハノーヴァーはドイツ原産で、ドイツはデンマーク同様スタリオンのWFFS検査に及び腰だから、検査対象となった頭数はたいへん少なく、よってこの数字は馬種の傾向としては鵜呑みにはできないと言えますが、しかしその少数の検査でこれだけキャリアが見つかったという事実は注目すべきだと思います。デンマークも、自主的に検査したステーションごとに、3頭とか2頭とかキャリアが見つかったというのは、けっこうな高パーセンテージを示唆している。今後の両国の動向を注視するべきですな。

(追記:↑の記事は6月3日付けのオランダの馬術雑誌Hoefslag(オンライン版)に掲載されてました。挙げられていた表を貼っておきます。
https://www.dehoefslag.nl/wp-content/uploads/2018/06/tabel-wffs.png
WFFS per stamboek, bron: UC Davis Veterinary Genetics Laboratory

サラブレッドにも存在するというのは意外だった…)

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2018年5月25日 (金)

WFFS続報5

 オランダ温血種協会(KWPN)が、現在供用可能&直近5年以内に産駒を儲けているKWPN(これはオランダ温血種の種牡馬ライセンス取得馬の意味)のスタリオンに実施中のWFFS検査の中間結果が発表されました。それによると、判明したキャリアは10頭、そのうちドレッサージュ馬が7頭、ジャンプ馬が3頭。

 Everdale
Guardian S
Habanna
Inclusive
・Inspire
Indian Rock
Jack(ジャンパー)
Jubel ES(ジャンパー)
Regino(ジャンパー)
(GLOCK's) Total US

 もっとも、エヴァーデールは、WFFS騒動のそもそもの発端的存在だし、インクルーシヴとインスパイアはその産駒で、父と同じステーションに繋養されていて、父のキャリア発覚とともにステーション全体のスタリオンが検査された時にやはりキャリアと判明したもの。トータルUSも、オーナーのグロックが自発的に行ったスタリオン検査でキャリアとわかったもので、この4頭に関しては、KWPNの発表の前に、すでにキャリアと判明済み。

 で、ジャンパーのスタリオン3頭と、ハバンナ(6歳、父ヴィヴァルド、でもヴィヴァルディの産駒ではない)というスタリオンについては、私は知るところがないけれど、ガーディアンS(7歳、父ボディーガード)とインディアンロック(5歳、父アパッチ)がキャリアと判明したのは、生産界にとっては、おそらくかなりの衝撃。両者ともに、大きなスタリオンコンテストでの優勝や入賞の経験を持つ有名種牡馬で、たぶんもうすでに、相当な数の産駒を出しているはず。これはイタい…

(ちなみに、スタリオンの名前は、世代別にアルファベットの頭文字をつけるので、名前を見れば何歳かがわかる。Gで始まればいま7歳、Hは6歳、Iは5歳。もっとも、父の頭文字をつける場合も多い(父Totilas→子Toto jr→孫Taminiauとか)ので一概には言えないけど。)

 KWPNの検査は、現在250頭が終わったところで、キャリアの割合は4%だけれど、キャリア10頭のうち4頭は先に発覚済みだったのを思えば、まだまだ緒についたばかりという印象が強い。さらに検査が進んでもっとたくさんのキャリアが見つかり、その血統に重なる部分が出てくれば、その系図をたどっての追跡調査なども可能になるだろうけど。

(追記5/27:デンマーク温血種協会(DWB)がWFFSについてのステートメントを発表、がしかし、その内容は「統計的に発病の確率はとても低いからそんなに心配しなくて大丈夫」「一応今後モニタリングしていくつもりです」みたいなお気楽ぶり…もっとも、デンマーク最大手牧場のひとつブルーホースは独自にすでに検査ずみ(キャリアを3頭確認)だけど。ヘルグストランドのステーションはまだ日和見のもよう。)

(追記5/28:スウェーデン温血種協会(SWB)もWFFSに関する声明を発表、しかしこちらは隣国とは大いに違い、現在供用可能なスタリオン(一部の牝馬もかも)への遺伝子検査実施、今年産まれの仔馬への同様の検査実施(WFFSの広がり具合を見るため)、結果が分かり次第ウェブにて公表すること、来年からはスタリオンはシーズン前にWFFS遺伝子の有無の申告義務が生じること、等々が並べられています。)

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